ホームステージング

バーチャルステージングとは?デジタル・AIとの違いと費用相場

公開日 2026年8月4日

執筆: カグオクAI編集部 / 監修: 増山大知

バーチャルステージングとは、空室または居住中の物件写真に、家具やインテリアをデジタル上で合成し、入居後・購入後の暮らしをイメージできる広告写真をつくる手法です。実物の家具を現地に搬入する必要がないため、費用と納期を抑えながら「家具が入った状態」の写真を用意できます。

現場では、これと似た言葉として「デジタルステージング」「AIホームステージング」もよく使われており、担当者によって指す範囲が微妙に違うまま会話が進んでしまうことが少なくありません。本記事では、この3つの用語の関係を整理したうえで、制作の仕組み(外注CG合成型とAIセルフ型)、実物ホームステージングとの使い分け、費用相場、掲載時に必要な注記表示までを、不動産会社の実務目線で解説します。

読み終える頃には、社内で「うちの物件にはどの方式が合うか」を説明できる状態になっているはずです。

この記事を読むとわかること

  • バーチャルステージング・デジタルステージング・AIホームステージングの違い
  • 外注CG合成型とAIセルフ型、2つの制作方式の仕組み
  • 実物ホームステージングとどちらを選ぶべきかの判断基準
  • 方式別の費用相場と納期の目安
  • 掲載時に必要な注記表示と現況写真の扱い

バーチャルステージングとは?まず押さえる定義

バーチャルステージングは、空室の写真にデジタル技術で家具・小物・カーテンなどを合成し、生活感のある部屋に見せる手法の総称です。実物の家具を運び込む「実物ホームステージング」に対して、写真データの加工だけで完結する点が最大の特徴です。

物件のポータル掲載写真は、空室のままだと「部屋の広さや用途が伝わりにくい」という弱点を抱えています。バーチャルステージングは、この弱点を写真加工だけで補う手段として、賃貸・売買の両方で採用が広がっています。

背景には、ポータルサイトの一覧画面で写真の第一印象が内見申込みの有無を左右するという事情があります。空室のままの写真は情報量が少なく、閲覧者が「自分がそこで暮らす姿」を描きにくいため、他の掲載物件より先に離脱されやすい傾向があります。家具入りの写真に差し替えるだけで反響数が変わるのは、この離脱ポイントを補っているためです。

なお「バーチャルステージング」は制作方式を限定しない広い言葉です。次の章で、この言葉が指す範囲と、隣接する2つの用語との違いを整理します。

Beforeバーチャルステージングの例:ワンルーム(モダン)(ステージング前)
Afterバーチャルステージングの例:ワンルーム(モダン)(ステージング後)
Before画像はAI生成のサンプル物件写真。After画像はカグオクAIで実際に合成した出力です

バーチャルステージング・デジタルステージング・AIホームステージングの違い

3つの用語は、実務上は重なり合う部分が大きいものの、指している範囲が異なります。バーチャルステージングは「実物を使わず画像加工で行うステージング全般」を指す最も広い言葉です。デジタルステージングはバーチャルステージングとほぼ同義で使われることが多く、海外の不動産マーケティング用語からの訳語として定着しています。

一方でAIホームステージングは、バーチャルステージングの中でも「画像生成AIを使う方式」に限定した言葉です。バーチャルステージングという大きな括りの中に、AIホームステージングという制作手法が含まれる、という関係で理解すると整理しやすくなります。

用語指す範囲制作の主体代表的な言い換え
バーチャルステージング実物を使わない画像加工全般(最も広い)人力CGオペレーター/AIデジタルステージング(ほぼ同義)
デジタルステージングバーチャルステージングとほぼ同義人力CGオペレーター/AIバーチャルステージング
AIホームステージングバーチャルステージングのうちAIで合成する方式画像生成AIAIステージング

AIホームステージングそのものの仕組みや従来型との違いをさらに詳しく知りたい場合は、AIホームステージングとは?費用・仕組み・従来型との違いを実務目線で解説もあわせてご覧ください。

この整理をもとに、次の章では制作方式の内側、つまり「誰が・どうやって」家具を合成しているのかを見ていきます。

バーチャルステージングの仕組み:外注CG合成型とAIセルフ型

バーチャルステージングの制作方式は、大きく「外注CG合成型」と「AIセルフ型」の2つに分かれます。両者は同じ「画像加工で家具を足す」という結果を目指しますが、作業の主体と所要時間がまったく異なります。

外注CG合成型は、写真を専門の制作会社に送り、CGデザイナーが3DCGソフトで家具を配置・レンダリングして納品する方式です。人の目で遠近・光源・質感を細かく調整するため仕上がりの精度は高い一方、納期は発注から数日〜1週間程度かかるのが一般的です。

制作フローは、写真送付→デザイナーによる家具モデルの配置→レンダリング→社内チェック→納品という工程を踏みます。修正が必要な場合は再レンダリングが発生するため、初稿から採用まで複数回のやり取りを見込んでおく必要があります。

AIセルフ型は、画像生成AIのツールに写真をアップロードし、テイストを選ぶだけで数分〜数時間で仕上がる方式です。カグオクAIのようなサービスは、この方式に分類されます。担当者が自社内で操作を完結できるため、掲載中の物件にも即日で追加対応しやすいのが強みです。

制作会社とのやり取りに時間を取られない点は実務上のメリットですが、選べるテイストの幅は用意されたプリセットの範囲に限られます。細かなオーダーメイド対応が必要な場合は、外注CG合成型のほうが柔軟です。

方式制作主体納期の目安修正の柔軟性向いている物件数
外注CG合成型CGデザイナー(人力)数日〜1週間程度個別要望に対応しやすい少数・高価格帯の物件
AIセルフ型担当者自身+AI数分〜数時間テイスト選択の範囲内多数物件への横展開

弊社がAIセルフ型の提供事業者として現場で確認しているのは、間取りが複雑な部屋や画角が極端な写真では、家具の遠近やスケールがずれやすいという点です。この品質のばらつきは、掲載前に人の目で1点ずつ確認する運用でカバーするのが実務上の解決策になります。生成が不自然になりやすい具体的なパターンと回避策は、AIステージングでよくある失敗パターンと回避策で詳しく解説しています。

BeforeAIセルフ型バーチャルステージングの例:LDK(ラグジュアリー)(ステージング前)
AfterAIセルフ型バーチャルステージングの例:LDK(ラグジュアリー)(ステージング後)
Before画像はAI生成のサンプル物件写真。After画像はカグオクAIで実際に合成した出力です

実物ホームステージングとの使い分け基準

実物ホームステージングは、実際の家具・小物を現地に搬入して部屋をコーディネートする方式です。内覧当日に「実際にその空間で暮らす体験」を演出できる点は、画像加工であるバーチャルステージングには代替できません。

一方で実物ホームステージングは、家具のリース費・搬入搬出費・保管費が発生し、契約期間中は毎月コストがかかり続けます。複数物件へ同時展開するにはコストと稼働の両面で負荷が大きく、現実的には高価格帯の売買物件や、内覧数が見込める限られた物件に絞って使われる傾向があります。

バーチャルステージングは、この負荷を写真加工に置き換えることで、賃貸の空室対策のように「多数の物件へ横展開したい」場面に向いています。逆に、内覧の体験そのものを演出したい高価格帯の物件では、実物ホームステージングとの併用も選択肢になります。

たとえば、都心の高額マンションを売却する場合は、内覧者の期待値が高く、実物の家具で体験そのものを演出したほうが成約に直結しやすい傾向があります。一方、地方都市の賃貸マンションを数十戸まとめて管理する場合は、実物の搬入コストが現実的でなく、バーチャルステージングで横展開するほうが費用対効果に優れます。

ホームステージング全体の定義や効果指標を体系的に押さえたい場合は、ホームステージングとは?定義・効果・3方式の比較も参考にしてください。

判断軸実物ホームステージング向きバーチャルステージング向き
対象物件数少数に絞って手厚く演出したい多数物件へ横展開したい
内覧の有無内覧予約が多く見込めるポータル掲載写真の反響を重視したい
予算・期間契約期間中の継続費用を許容できる初期費用・月額費用を抑えたい
価格帯高価格帯・差別化を訴求したい物件賃貸〜中価格帯の売買物件

費用相場:方式別の内訳

費用感は方式によって一桁以上変わります。実物ホームステージングは、家具リース・搬入搬出・保管費を含めて1件あたり月数万円〜数十万円かかるのが一般的です。契約期間中は成約の有無にかかわらず費用が発生し続ける点も踏まえて検討する必要があります。

外注CG合成型は、写真1枚あたり数千円〜1万円台が目安です。修正の往復や急ぎ対応にはオプション費用がかかることが多く、依頼から納品までのリードタイムも見込んでおく必要があります。

AIセルフ型は、1枚あたり数百円〜数千円、または月額プランでの提供が中心です。従来型の数十分の一の費用で、掲載中の物件にも即日で追加できることから、複数物件を横展開したい賃貸管理会社を中心に採用が広がっています。

費用比較では、表面上の単価だけでなく修正対応やスピード対応にかかる追加費用も含めて検討する必要があります。外注CG合成型は急ぎ対応にオプション料金が発生することが多く、AIセルフ型は月額プランの上限枚数を超えると従量課金に切り替わる料金体系が一般的です。

方式別の費用をさらに詳しい内訳で比較した記事は、ホームステージングの費用相場を方式別に比較にまとめています。

方式費用の目安課金の単位納期
実物ホームステージング月数万円〜数十万円物件単位・契約期間数日〜数週間
外注CG合成型1枚あたり数千円〜1万円台写真枚数数日〜1週間程度
AIセルフ型1枚あたり数百円〜数千円写真枚数・月額プラン数分〜数時間

導入の流れ(3ステップ)

バーチャルステージングを実際に導入する際の流れは、方式によらずおおむね共通しています。

  1. 写真を用意する:募集用に撮影済みの空室写真、または居住中物件の写真をそのまま使います。撮り直しは不要です。
  2. テイスト・方式を選ぶ:ナチュラル・モダンなど部屋の用途に合うテイストを選び、外注CG合成型かAIセルフ型かを物件の優先度に応じて選択します。
  3. 仕上がりを確認して掲載する:家具の遠近・スケールに不自然な点がないか人の目で確認したうえで、注記表示を付けてポータルやマイソクに掲載します。

管理物件が多い場合は、いきなり全戸へ適用するのではなく、反響が伸び悩んでいる数件で試験的に運用し、問い合わせ数や内見申込みの変化を見てから対象を広げる進め方が現実的です。テイストの選び方や注記文言も、最初の数件で社内の合意形成を済ませておくと、その後の展開がスムーズになります。

掲載時の注意点:合成である旨の注記と現況写真の併記

バーチャルステージングの写真は、実際にはその家具が置かれていない部屋を撮影したものです。合成であることが伝わらない掲載は、宅地建物取引業法や不動産の表示に関する公正競争規約が求める「誤認防止」の観点でリスクになります。

実務上の基本は、「家具はCGによるイメージです」「バーチャルステージングにより家具を合成しています」といった注記を写真に明記し、現況(空室)の写真もあわせて掲載することです。弊社が生成事業者として顧客対応で確認している範囲では、注記は写真の隅に小さく入れるだけでなく、物件概要欄でも文言として補足しておくと、内覧時の「写真と違う」という問い合わせを減らせます。

注記の具体的な文言例や掲載位置のルールについては、不動産広告におけるAI加工画像の表示ルールで事例つきに解説しています。

表示に関するルールの詳細は、不動産の表示に関する公正競争規約を所管する不動産公正取引協議会連合会や、景品表示法を所管する消費者庁の情報を確認してください。

出典:不動産の表示に関する公正競争規約|不動産公正取引協議会連合会 出典:景品表示法|消費者庁

法令上の根拠となる条文は、宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)および不当景品類及び不当表示防止法(同)で確認できます。

出典:宅地建物取引業法|e-Gov法令検索 出典:不当景品類及び不当表示防止法|e-Gov法令検索

条文番号や罰則の断定は、個別の掲載表現によって判断が分かれるため、本記事では踏み込みません。判断に迷う表現は、加盟する不動産公正取引協議会や全国宅地建物取引業協会連合会の窓口に確認するのが確実です。

出典:全宅連|全国宅地建物取引業協会連合会

不動産会社での活用シーン

バーチャルステージングは、賃貸の空室対策として使われることが多い手法ですが、実際の活用シーンは物件の状態によって変わります。

空室の賃貸物件では、内見予約が入りにくい「がらんとした部屋」の写真を、家具入りの写真に差し替えることで反響改善を狙います。居住中の売却物件では、生活感のある写真をそのまま載せにくい代わりに、家具を消して整えた写真や、空室化後を想定したバーチャルステージング写真を併用するケースがあります。

新築分譲マンションのモデルルーム的な訴求にも応用できます。竣工前後で家具が入っていない住戸写真に、ターゲット層に合わせたテイストのバーチャルステージングを施すことで、購入検討者が生活動線をイメージしやすくなります。

複数の管理物件を抱える賃貸管理会社では、AIセルフ型を使って社内で一括処理し、掲載中の物件から優先度の高いものへ順次適用していく運用が現実的です。反響が伸び悩んでいる物件から優先的に処理し、効果を見ながら対象を広げていくやり方が、限られた工数の中では扱いやすい進め方になります。

日本ホームステージング協会が公表している資料でも、ステージング全般の効果指標として内覧数・成約期間の改善が取り上げられており、方式を問わず「写真の第一印象を変える」ことが狙いであるのは共通しています。

出典:日本ホームステージング協会

よくある質問(FAQ)

Q. バーチャルステージングとデジタルステージングは同じ意味ですか?

ほぼ同じ意味で使われています。どちらも「実物の家具を使わず、画像加工で家具を合成する手法全般」を指す言葉で、業界内でも厳密な使い分けはされていません。

Q. バーチャルステージングは違法になりませんか?

手法そのものが違法というわけではありません。ただし、合成であることがわからない掲載は、不動産の表示に関する公正競争規約や景品表示法が求める誤認防止の観点でリスクになります。「CGによるイメージです」等の注記と現況写真の併記が実務上の基本です。

Q. バーチャルステージングとAIホームステージングは何が違うのですか?

バーチャルステージングは、実物を使わない画像加工全般を指す広い言葉です。AIホームステージングは、その中でも画像生成AIを使って合成する方式を指す、より狭い言葉になります。

Q. 費用はどれくらいかかりますか?

方式によって大きく異なります。外注のCG合成型は1枚あたり数千円〜1万円台、AIセルフ型は1枚あたり数百円〜数千円が目安です。実物の家具を搬入する方式は月数万円〜数十万円と、桁が変わります。

Q. 実物のホームステージングと併用できますか?

併用は可能です。内覧が多く見込める高価格帯の物件は実物ホームステージングで体験を演出し、その他多数の物件はバーチャルステージングで写真の反響改善を狙う、という使い分けが実務では一般的です。

まとめ

  • バーチャルステージングは実物を使わない画像加工全般を指す言葉で、デジタルステージングとほぼ同義、AIホームステージングはその中の一方式
  • 制作方式は「外注CG合成型(高精度・数日納期)」と「AIセルフ型(低コスト・数分〜数時間)」に分かれる
  • 内覧体験を演出したい高価格帯物件は実物ホームステージング、多数物件への横展開はバーチャルステージングが向く
  • 費用は実物が月数万円〜数十万円、外注CG合成型が1枚数千円〜1万円台、AIセルフ型が1枚数百円〜数千円
  • 掲載時は「CGによるイメージです」等の注記と現況写真の併記が必須

カグオクAIは、不動産会社様向けのAIホームステージングツールです。お手持ちの空室写真をアップロードするだけで、テイスト別の仕上がりを数分で確認できます。